支払い滞納・延滞・遅延の時

損害賠償の支払い能力がない場合はどうなる?払えない時の対処法等解説

損害賠償を請求されたのに、十分な支払い能力がないとどうなるのでしょうか。

支払い義務がなくなるのでは?と思う方もいるかもしれませんが、残念ながら損害賠償からは逃れられません。無視を続ければ差押えで強制的に債務を履行させられます。家族には、代理で支払う義務は一切ありません。

また、たとえ「お金が無いから払えない」と口先で言っても、きちんと調査で裏取りがされます。無職や生活保護受給者でも支払いを逃れる理由にはなりません

このように損害賠償を支払わない選択肢は基本的に存在しません。もし本当に支払い能力がないのであれば弁護士や被害者に相談しましょう。減額したり、分割での返済を認めてもらえる可能性があります。またデメリットはありますが自己破産をすれば返済義務はなくなります。消費者金融のカードローンでお金を借りて支払うのも良いでしょう。

損害賠償には「不正行為による損害賠償」と「債務不履行による損害賠償」の2種類があり、前者はさらに「積極損害」・「消極損害」・「精神的損害」の3つに分けられます。このように専門的な部分が多く、素人では分かりにくいのが現状です。余裕があるのなら弁護士など専門家に代理依頼することおすすめします。

この記事でわかること
  • 損害賠償を家族が代理で支払う義務はない
  • 損害賠償の支払いができないなら自己破産を申請する
  • 損害賠償の支払い能力がないなら弁護士や被害者に相談する
  • 損害賠償支払い義務は無職や生活保護受給者でも無くならない
  • 損害賠償が支払えないなら消費者金融カードローンでお金を借りて払う
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損害賠償の支払い能力がない場合に払えないとどうなる?

損害賠償の支払い能力がないと、以下のような事態になります。

  • 遅延損害金の発生
  • 差押え
  • 家族は支払ってくれない
  • 賠償責任からは逃れられない

まず、損害賠償には支払い期限がありますが、この期限を過ぎても支払いを行わなければ遅延損害金が発生することになります。本来の賠償額に加えて遅延損害金も払うことになりますので、支払い総額は増えます。いくら支払い能力がないからといって放置すると、総額はどんどん増えます。

差押えによる強制執行も待っています。差押えの対象となるのは給与口座や預金口座、その他にも住宅や土地などの不動産、自動車や宝石類といった動産です。口座であればそこから自動的に必要な金額が支払いに充てられますし、不動産や動産であれば一度売却され売却資金から返済に充てられます。

無視していれば家族の人が代わりに払ってくれるだろうと考えている人もいるかもしれませんが、そんなことはありません。家族が代わりに損害賠償を支払う義務、というものは一切ありません。たとえ親がお金持ちだったとしても、あくまでも支払い義務は本人にあります。

損害賠償は裁判所による正当な法的手続きを経ていますので、逃れることは出来ません。もし手元に届いた通達内容に覚えがない場合や、納得できない点がある場合は、それ相応の対応をする必要があります。間違っても放置してはいけません。まずはその書類が詐欺ではなく、正しく裁判所のものかどうか確認しましょう。その上で不満な点があれば、専門家である弁護士に相談するのが良いでしょう。

このように、もし十分な支払い能力を有していない場合でも、損害賠償から逃れることが出来ないのです。

遅延損害金が発生する

損害賠償には遅延損害金が存在します。遅延損害金が発生する条件は、損害賠償すべき金額が本来の支払い期限までに支払われなかった場合、です。本来の支払い期限以降、遅延損害金が発生することになります。

クレジットカードやカードローンの支払いに遅れた際に発生するイメージのある遅延損害金ですが、このように損害賠償時にも発生するのです。

遅延損害金は1日ごとに金利が発生するものですが、その利率は当事者間で合意されている場合を除いて、基本的に法定利率で決定されています。例えば、交通事故における損害賠償では、年率5%が法定利率と定められていましたが、現在は法律の改正に従って年率3%まで引き下げられています。

損害賠償の支払い義務が生じたのに、支払い能力がなくきちんと支払えないという人はいらっしゃるでしょう。しかし、いくら支払い能力がないからといって、そのまま放置していると遅延損害金が発生して支払い総額はむしろ増えることになってしまいます。

損害賠償が支払えない理由は人によって様々なものがあると思いますが、知らないふりをして放置するようなことは避けましょう。

財産・給与の差押えなど強制執行となる

もし支払い期限を過ぎても支払いを無視し続けるようなことがあれば、差押えの強制執行によって無理やりにでも支払いを履行させられるでしょう。

差押えの対象となるものは、財産や給与などです。

金融機関の口座にある貯蓄や給与口座が差し押さえられ、そこから必要な金額を強制的に支払いに充てられます。場合によっては住宅や土地などの不動産、もしくは自動車や宝石類といった動産の財産も差押えの対象になるでしょう。

これらは一度売却され、売却代金を支払いに充てるため、財産は手元からなくなってしまいます。

家族に支払い義務はない

損害賠償を支払うだけの十分な能力がない場合、親や配偶者など家族の人が代わりに払ってくれるかもしれない、と期待するかもしれません。もし家族に支払い義務があれば、強制的に代わりに払わせることが出来ます。

しかし実際のところ、損害賠償に関して家族に支払い義務は一切ありません。もし親や配偶者がお金持ちで十分な支払い能力があるからと言っても、代わりに支払わせることは出来ません。

ですので、損害賠償の義務を負った時点で、何とかして自分の力で支払いをしなくてはいけません。

支払わなくてもよい賠償金はない

損害賠償を踏み倒すことは出来ません。いくら自分自身が納得していなくても、十分なお金が無くても、判決が出た以上支払うしかありません。

損害賠償は裁判所によって命じられます。正当な法的手続きを経ています。先ほども紹介しましたが、もし支払えないとしてそれを無視し続けていても、給与口座や預金口座が差押えの対象となり、強制的にでも支払いが行われます。

もし、心当たりのない損害賠償の請求が手元に届くとしても、そのまま放置してはいけません。まずはその通達が本当に裁判所からのものであるか確認しましょう。詐欺の可能性も十分にあります、裁判所のものだと分かったら、裁判所に対して心当たりがない旨をきちんと伝え下さい。場合によっては弁護士に相談をする必要もあるでしょう。心当たりがなくても判決が下されれば賠償責任は生じてしまいます。手遅れになる前に専門家の助けを借りましょう。

このように損害賠償から逃れることは不可能です。正当な請求であれば受け入れて支払うしかありませんし、身に覚えのないものでも無視せずにきちんと対応することが重要です。

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損害賠償支払いに「支払い能力」は関係ない

前項で支払い能力に関わらず、損害賠償から逃れることは出来ないと書きましたが、もう少し詳しく見ていきましょう。

  • お金が無くても必ず調査される
  • 無職は理由にならない
  • 生活保護受給者でも支払い義務はある

口頭で「お金が無い」といっても、それだけで支払い義務がなくなるわけではありません。本当に返済能力がないかどうか、きちんとした調査が行われます。また、そもそも損害賠償請求を起こされる前に、返済能力があるかどうか調査されているケースも多くあります。返済能力があると判断された上で請求されていますので、逃れることは難しいです。

無職でも支払い義務は消えません。「精神が病んでいる」、「家庭の事情がある」など止むを得ない理由があれば別ですが、単に働いていないことは理由になりません。放置すれば遅延損害金の発生や差押えが待っていますので、きちんと働いて返済していきましょう。

また生活保護受給者でも損害賠償責任は生じます。生活保護受給者の金銭状況は厳しいのが現状ですので、実際のケースでは損害賠償を払いきれず、泣き寝入りすることが多いようです。しかし、責任が消えるわけではないので気を付けましょう。また、仮に生活保護受給者が賠償金を貰う側に立った場合、その賠償金は返還する必要性がある場合もあります。

「お金がない」と言ったとしても調査される

まず損害賠償を突き付けられた際に「お金がないから払えない」と言ったとしても関係ありません。

基本的に訴訟を起こしている側は、損害賠償を請求する前に相手の返済能力について事前にきちんと確認をしているケースが多いようです。せっかく裁判に勝って損害賠償を勝ち得たのに、相手に返済能力がないせいで支払ってもらえない、というのであれば不幸な結果でしょう。相手の収入や財産はいくらか、と調査が行われています。

また、損害賠償を突き付けられた上で中々支払いに応じないようであれば、その時点でも調査が行われます。いくら口頭で「お金が無い」と言っても、口座にお金が入っていれば返済できるはずです。

口座にお金が無くても土地や住宅、自動車などの資産を売却すれば返済できるかもしれません。こういった情報も正確に調査されます。

無職の場合でも仕事ができない理由を調べられる

無職であれば支払わなくていいかというと、そういうわけではありません。現在仕事をしていない理由について、調査されます。

仮に身体的な問題を抱えていたり、精神を病んでいる、または家庭の事情で仕事が出来ないというのであれば話は別でしょう。

しかし、ただ単に「働きたくない」、「希望の職が見つからない」といった理由だけで仕事をしていないのであれば、損害賠償を逃れられません。働く能力自体は有していますので、ちゃんと働いて返済することが求められます。

先ほども説明したように、損害賠償は放置すれば遅延損害金が積み重なったり、最悪の場合は差押えが行われます。無職という状況に甘えず、きちんと仕事をして早く払ってしまうのが良いでしょう。

生活保護受給者でも請求はされる

生活保護受給者でも損害賠償は請求されるのでしょうか。生活保護を受給している人は、自分の収入だけでは最低限の生活が送れないと国に認められていますので、一見すると損害賠償も逃れられるように見えます。

しかし、たとえ生活保護受給者であっても、損害賠償は請求されます。通常の損害賠償と同様に、裁判で決定された金額を支払わなくてはなりません。ただし、生活保護を受給している事実が賠償金額に反映される可能性はあります。

生活保護受給者の生活はカツカツで苦しいのが現状ですので、損害賠償を請求しても中々支払ってもらえないというケースが多くあります。差押えをしようにもそもそも財産を有していないので、それも難しいのかもしれません。

また、これは余談ですが、生活保護受給者が賠償金を貰う立場になった場合、賠償金を返還しなくてはいけない可能性があることは覚えておいてください。生活保護受給者は国からお金をもらって生活していますので、賠償金を貰うことは二重に利益を得ていることになります。現在の制度上、返還しなければなりません。

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損害賠償が払えない時の対処法

損害賠償がどうしても支払えない場合、いくつかの対処方法があります。間違ってもそのまま放置してはいけません。

  • 弁護士に相談
  • 被害者に相談
  • 自己破産
  • お金を借りて支払う

法律のプロである弁護士に相談すれば、交渉をうまく進めてくれる可能性があります。賠償金額を低くしたり、運が良ければ請求自体を取り消してくれるかもしれません。

被害者に相談をするのもアリです。賠償責任自体を取り消すのは難しいでしょうが、分割払いに応じてくれる可能性があります。

もし本当に返済能力がないのであれば、自己破産を検討しましょう。自己破産にはいくつかデメリットもありますが、債務は一切帳消しになるというメリットもあります。

また、消費者金融カードローンでお金を借りてきて支払ってしまうのもおすすめです。金利無料キャンペーンや即日融資といった消費者金融ならではの利点を生かしましょう。

賠償責任を放置しても遅延損害金が発生したり、差押えが行われるだけでメリットは何もありません。

弁護士など専門家に相談をする

損害賠償を支払えない場合、まずは弁護士に相談しましょう。

日本には様々な弁護士事務所がありそれぞれ強みは異なりますが、損害賠償への対応に特に強みを持っている事務所もあります。

弁護士に相談せず放置してしまえば、遅延損害金の発生や差し押さえの強制執行など、様々なデメリットが生じてしまいます。

弁護士に相談すれば、自分自身と訴えた人の間に弁護士が立ってくれます。賠償金が大きすぎる場合は減額交渉をしてくれます。

また裁判に発展する前に弁護士を雇っておけば、裁判自体をこちらに有利な形で進めてくれるかもしれません。上手く行けば請求額が低くなったり、請求自体を取り消せる可能性もあります。

いずれにせよ、素人だけで法律問題に対処するより、法律のプロに任せた方がいい結果が出る可能性があります。相談だけなら無料で受け付けている事務所が大半ですので、まずは相談してみてはいかがでしょうか。

被害者に相談、分割払いを相談する

被害者、つまり損害賠償請求を起こしている本人に直接相談をするのもありです。「金銭状況が芳しくなく、支払いを行うことができない」旨を伝えましょう。

損害賠償は一括返済が基本です。

そこで、誠実に相談をすれば、「分割払い」での返済に応じてくれる可能性があります。もちろん損害賠償責任自体は消えませんが、分割払いが受け入れられれば、少しは楽になるでしょう。

しかし、自分だけの力でなんとかしようとするのは難しいのが現状です。やはり法律問題ですので専門的な知識が必要ですし、加害者と被害者という関係性もデリケートなものでしょう。被害者とうまくコミュニケーションが取れていれば良いですが、そうでない場合は無理をせずに弁護士など法律のプロに頼った方が良いかもしれません。

自己破産する

自己破産をして、返済義務を逃れるという方法もあります。

自己破産とは、法律によって認められた行為であり、現在負っている全ての借金を裁判所に取り消してもらうことです。

現在自分が有している財産(貯金や不動産など)を全て考慮しても返済しきれないと判断された場合に、自己破産は可能になります。

自己破産を希望する場合、「破産手続開始及び免責申立書」などいくつかの必要書類を提出した上で、裁判所に申し立てる必要があります。書類が受理されれば、裁判所から呼び出され、「自己破産に至った経緯」「債権者の数」「現在の借金の総額」などいくつかの質問がなされます。これらを踏まえた上で審査に通過すれば、晴れて自己破産が認められます。

自己破産になれば損害賠償請求されているものの返済義務もなくなりますが、自身の財産も取り上げられることになります。「預金や有価証券など20万円未満の金融資産」と「生活する上で必要最低限な家具類」といった例外的に必要なものを除いて、財産は全てなくなると考えてよいでしょう。

悪意で加えた不法行為にもとづく損害賠償は免責されない

このように借金が帳消しになる自己破産ですが、全ての借金が対象となるわけではありません。悪意で加えた不法行為に基づいた損害賠償は免責されませんので気を付けましょう。

悪意で加えた不法行為に基づいた損害賠償とは、どのようなものを指すのでしょうか。簡単に言うと、「わざと危害を加える」行為のことです。具体的には以下のようなケースが想定されます。

  • 会社のお金を横領する
  • 詐欺行為を働く
  • 他人の所有物を盗む
  • 暴力で相手にケガをさせる
  • 嫌がらせをして精神的に傷付ける
  • 既婚者と不倫をする

こういった行為によって生じた損害賠償は免責(責任を逃れる)することは出来ません。

もし自身のケースが当てはまる場合、自己破産しても意味はありません。上記のケースはあくまで一例ですし、免責されないケースは法律で詳しく規定されています。不安のある方はやはり弁護士など専門家に相談した方が良いでしょう。

お金を借りて支払う

いくらお金がなくても、損害賠償は支払わなくてはなりません。自己破産しても免責されない可能性も十分にあります。

そこで、お金を借りてきて支払う、という方法も一つ候補に入れておいた方が良いでしょう。どこからお金を借りてくるのか、ということが問題になるかと思いますが、借りてくる先は主に2つあります。

  • 親や子供、親戚
  • 消費者金融カードローン

親や子供、親戚といった血のつながりのある人たちであれば、比較的簡単にお金を貸してくれるでしょう。金融機関とは異なり、金利を付けずに貸してくれるはずです。しかし、いくら家族だからと言っても甘えてはいけません。借りたお金はきちんと返すことが重要です。そうしないと、信頼関係にヒビが入ってしまいます。

消費者金融カードローンなら即日融資と金利無料期間というメリットがあります。返済期限まで時間がない場合や、金利コストを追わずに利用したい人にはうってつけのサービスです。

親や子ども、親戚に借りる

まずは親や子供、親戚からお金を借りられないか、検討してみましょう。血のつながった家族であれば、比較的すんなりと貸してくれるのではないでしょうか。「損害賠償請求を受けている」「手元にお金が無い」という状況をきちんと説明すれば分かってもらえるはずです。

しかし、いくら家族だといっても、誠実に接しなければなりません。金融機関からお金を借りる場合とは異なり、家族はあなた自身を信用してお金を貸してくれるはずです。借りたお金は返さなくて良いと甘んじるのではなく、きちんと返済期限などを設けるべきでしょう。また、返済を怠れば、いくら家族と言えども関係性にヒビが入ることが逃れられないでしょう。

このように、親や子供、親戚からお金を借りる際は、誠意を持って臨まなくてはなりません。

消費者金融カードローンで借りる

身近な人からお金を借りることが難しい場合、金融機関から借金をすることを検討しましょう。中でも消費者金融のカードローンを利用することをおすすめします。

消費者金融のカードローンは個人向けの融資に特化しています。また、特に大手消費者金融は高い知名度を誇っていますので、安心して利用できるでしょう。

大手消費者金融カードローンを利用する最大のメリットは2つです。

  • 即日融資
  • 初回金利0円期間あり

大手消費者金融のカードローンなら、最短で申し込みを行った当日中に融資を受けることが出来ます。損害賠償請求において、返済に遅れると遅延損害金や差し押さえといった処置が待っていますので、時間がない場合でもすぐに返済することが出来ます。銀行でもカードローンを提供していますが、審査に時間がかかりますし、この即日融資には対応していないケースが大半です。

また金利無料を利用すれば、その期間内は金利0で借入を行うことが出来ます。カードローンのコストはこの金利ですので、無料になるのは非常にメリットが大きいです。期間は各社によって異なりますが、30日~90日間ほど設けていることが多いです。このサービスを利用できるので初回利用者に限ります。

このように消費者金融カードローンのメリットを生かして、お金を借りてきて支払っても良いでしょう。

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損害賠償とは

最後に、損害賠償について詳しく知っておきましょう。

まず損害賠償には2種類あります。

  • 「不正行為による損害賠償」
  • 「債務不履行による損害賠償」

さらに不正行為による損害賠償は、3種類に分けられます。

  • 積極損害
  • 消極損害
  • 精神的損害

このように損害賠償の種類には様々なものがありますが、そもそも賠償が決定するまでには「賠償額の算定→示談→調停→裁判」というステップがあります。

事件の内容や被害者の状況、加害者の金銭状況に応じて賠償額が決定され、示談交渉に入ります。ここで両者が納得して合意すればよいですが、しなければ調停に入ります。調停では調停委員が間に入り話が進みますが、ここでも決まらなければ最終的には裁判所による判決で決まることになります。

賠償額は上記で挙げたように損害の内容に応じて決定されますが、それ以外にも要因はあります。過払い金があればその分賠償額は減りますが、相手が弁護士を雇っていればその分の費用は負担しなければなりません。また過失相殺や損益相殺が適用されれば、賠償額は減らすことも出来ます。

このように損害賠償が決定するまでには複雑な過程を経ることになります。もちろん自分1人だけでも対処することは出来ますが、専門的な話も多く実際は難しいケースが多いでしょう。多少の費用を払ってでも、弁護士などの専門家に代理を依頼する方が現実的と言えるでしょう。

不正行為による損害賠償

不正行為による損害賠償とは、例えば「交通事故で相手にケガをさせた」場合や「既婚者と不倫」した場合などに生じる賠償です。これ以外にもネット上での誹謗中傷、詐欺や窃盗、暴行などの行為も該当します。

具体的に見ると、さらに「積極損害」「消極損害」「精神的損害」の3つに分けられます。

積極損害は被害者が直接支払った費用を賄い、消極損害は事件がなければ得られていたであろう利益を補填し、精神的損害は被害者の精神的苦痛を金銭換算し支払うものとなっています。

では、それぞれの損害について、詳しく見ていきましょう。

積極損害

積極損害とは被害者が事件によって支払った費用を負担することを指します。積極損害が当てはまるケースには以下のようなものがあります。

  • 病院での治療費や入院費
  • 自動車の修理費
  • 被害者が死亡した際の葬祭費

など

このように加害者が起こした事件によって、直接的に発生した損害に対して費用を負担するのが積極損害の考え方です。

消極損害

消極損害とは不法行為を受けていなければ本来得られていた利益を負担することです。機会費用の考え方と同じものです。

例えば、被害者が交通事故にあったせいで入院する必要が生じたケースを考えましょう。

この被害者が自営業を営んでいたとしましょう。当然入院している機関は仕事が出来ませんし、自営業なのでサラリーマンのように病気のための有給もありません。(個人事業主・自営業者がお金を借りたいなら)本来働いていれば得られた収入はなくなりますので、この分の金額を消極損害として加害者が負担することになります。

消極損害にも「休業損害」「後遺障害逸失利益」「死亡逸失利益」の3つがあり、被害者の年齢や性別、収入などの条件に合わせて負担する金額も異なってきます。

精神的損害

精神的損害とは不法行為によって加害者に生じた精神的苦痛に対して費用を負担することです。

精神的苦痛は金銭価値に換算することは難しいという問題がありますが、被害の状況に応じて一般的な相場というものが定められています。例えば、交通事故によって入院や通院が必要になった場合、精神的損害として「入通院慰謝料」を受け取れます。

精神的損害に関しては、金額の算出方法がいくつかあるため、一概にこの金額だということは出来ません。それぞれの相場に関して詳しく知りたい場合は、お近くの弁護士事務所に相談をしてみるのが良いかと思います。

債務不履行による損害賠償

債務不履行による損害賠償とは、契約違反によって生じる損害賠償で、例えば借金を本来の期限日までに支払わなかった場合などに生じます。

この記事の冒頭でも紹介した「遅延損害金」は、この債務不履行による損害賠償によって発生します。交通事故による損害賠償以外にも、クレジットカードの支払いやカードローンの返済が滞った場合などにも、この遅延損害金は課せられます。利息はそれぞれ所定の利率に従って計算されます。

なお、債務不履行に該当する行為は3つに分けれています。

  • 履行遅延
  • 履行不能
  • 不完全履行

履行遅延はそのまま「債務の履行が遅れること」です。本来の支払い期限に遅れる場合などが当たります。

履行不能は「債務の履行が出来ないこと」です。例えば、契約で相手に譲渡することが決まっている商品が破損して譲渡できなくなった場合、などが当たります。

不完全履行とは「一応債務は履行しているが、不完全であること」です。少々分かりにくいですが、例えば商品は渡したが中身は不足している場合、などが当たります。

損害賠償が請求されるまでの流れ

損害賠償の大まかな流れは以下の通りです。

  • 賠償額の算定
  • 示談交渉
  • 調停
  • 裁判

まず被害者が受けた被害の内容に応じて、賠償額を算定します。損害の内容は先述したようにいくつかありますが、「実際に生じた損害の総額」、「精神的苦痛の度合い」、「過失の割合」などを元に算出します。なおすでにある程度賠償を受けているのであれば、その分の金額は差し引いて計算されます。

賠償額が算定されれば、次は示談の交渉に入ります。すぐに裁判に入るわけではありません。示談交渉によって合意が得られれば裁判沙汰になることはなく、請求された賠償金額を支払って終了です。

示談が成立しなければ、調停委員が間に入り交渉が行われます。調停委員が入るためある程度の費用はかかりますが、裁判を起こすよりは安上がりな点が特徴です。また、あくまで話し合いによる解決を目指していますので、穏便に解決したい場合におすすめです。調停が利用されるのは、例えば離婚調停などが挙げられます。

示談や調停でも解決しなければ、最終的には裁判によって解決を目指すことになります。裁判になれば、基本的に弁護士を頼るしかありません。もちろん自分自身で行うことも出来ますが、裁判は平日に行われますし、法的な主張や手続きをまとめる必要もあります。

このようにして損害賠償が決定されることになります。

損害賠償の賠償額の決まり方

損害賠償額の決定にはいくつかのステップがあります。

  • 損害項目に応じて損害額を計算
  • 過失相殺
  • 損益相殺
  • 既払い金の清算
  • 弁護士費用、遅延損害金の加算

損害項目は、積極損害・消極損害・精神的損害などいくつかの項目に分かれています。今回の事件で生じた損害内容に応じて、それぞれ具体的に金額を計算していきます。

次に過失相殺を行います。事件が起きた場合、過失は100%加害者にあるとは限りません。被害者側もある程度の過失を負っている場合、その分に応じて、損害額を割り引くことが出来ます。

また被害者がその事件によって、何かしらの利益が得ている場合があります。例えば交通事故によって加入している生命保険からお金を得ている場合です。このとき、被害者は賠償金を二重に受け取っていると判断されるため、その分は賠償金から差し引かれます。

加害者が被害者に対して既にある程度のお金を支払っていれば、その分の金額も過払い金として賠償金から除きます。これは加害者が加入している保険会社からの支払いに対しても当てはまります。

最後に、被害者が弁護士を利用した場合はその費用を賠償金に上乗せできます。また、加害者が本来の支払い期限に遅れれば、遅延損害金を課すことも出来ます。

このような手順を経て、賠償額が決定されます。

減額ができるケースもある

損害賠償金を減額できるケースはあります。

  • 過失相殺
  • 損益相殺
  • 被害者と交渉する

いずれもこの記事の中で一度取り上げた内容ですが、大事なポイントですので、おさらいをしましょう。

過失相殺とは、事件に関して被害者にも過失があると認められる場合に一定の割合で賠償金を減らしてもらえる制度です。

損益相殺とは、被害者がその事件によって経済的な利益を得ている場合、賠償金額がその利益額分減らされる制度です。例えば交通事故を起こし、加入している保険から保険金を貰っていた場合、その保険金と同額が賠償額から削減されます。

また、法的な制度ではありませんが、被害者と直接交渉すれば賠償金額を減らせる可能性があります。賠償金の請求の手順は、賠償額の算定→示談→調停→裁判という形で進んでいきます。示談の段階で、賠償額に異論があれば発言すべきです。この段階では双方が納得した形で解決することを目指しますし、裁判に発展すれば被害者側にも負担が増えます。ある程度の減額なら応じてくれる可能性は十分にあるでしょう。

いずれにせよ、自分1人で行うより弁護士などの専門家に依頼するのが良いでしょう。過失相殺や損益相殺に関してはやはり専門的な部分が多いですし、被害者との交渉も弁護士なら間に入ってやり取りしてくれます。素人が自分でやるよりも、その道のプロに任せた方が安心できるでしょう。まずは相談だけでもしてみることをおすすめします。

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この記事の監修者 山口みき
自己紹介 金融WEBメディア運営・管理経験(3年以上)を活かし「お金借りる今すぐナビ」の編集・監修を担当。FP技能士貸金業務取扱主任者・クレジット債権管理士の資格取得にも前向きに取り組んでおり、借り入れに関する疑問や不安に応えるため、常に正確で専門的な情報提供に努めています。
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